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「終の住処」と言われている特養ですが、要介護3以上の区分を入所要件としていることもあり、新しく入ってくる方たちもかなり高齢です。なかには100歳を超えて新規で入所される方もいらっしいますので、当然、そのまま施設で最期を迎える人たちが多いです。

病院で息を引き取られる方が今もなお多い状況ですが、高齢者が住み慣れた場所で最期を迎えることが出来るよう、老人ホームでも「看取りケア」を実践しているところが増えています。特養はその先駆けと言えるでしょう。

今回は、特養でどのような看取りケアを実践しているのか。そのなかで家族に求められるポイントなどをご紹介したいと思います。

(リンク)特別養護老人ホームってどんな施設?

(リンク)なぜ特養への入所が難しいのか

どのように看取りを実践しているか

看取りケアの流れをまとめると以下のようになります。

◆スタッフや家族が集まり話し合う
◆決定した内容を基に看取りケアを実践する
◆家族と蜜に情報交換を行う
◆危篤の際には施設から連絡がくる
◆亡くなった後は身なりを綺麗に整える
◆スタッフ一同で最期のお見送り

意識レベルが低下したり、食事がまともに摂取出来なくなると看取り対応が始まります。そうなると、まず初めに会議を開催します。看護師や介護職員、相談員、栄養士、家族などが集まり、最期に向けた個別対応について話し合います。

そこで話し合われる内容は、本人や家族の希望の聞き取り、緊急時の対応方法などが挙げられます。また、身体に負担を掛ける事はなるべく避け、安息な生活スタイルを組み立てるための共通認識を全員で持ちます。

その結果を基に実践に移ります。安息を第一としますので、細やかな水分補給や食べたい物の提供が中心です。また、血圧や脈拍などのバイタルも定期的に測定しながらスタッフ全員で共有します。もし異変があれば医師へ相談したり、その都度家族へ連絡が入るでしょう。

そして、いよいよとなると家族へ連絡が入ります。希望される方は施設に来て最後の時をご本人と一緒に過ごします。アルバムを開きながら昔を思い出したり、思い出話を語りかけたりなど、ご家族ごとに好きな時間を過ごされています。

亡くなった後は最期のケアに入ります。女性であれば化粧をしたり、希望する服装があれば着替えるなど身なりを綺麗に整え、ご遺体を葬儀会社へお連れします。

良い看取りケアには家族の協力が必須

特養に入所されている方のほとんどは認知症などにより自身の意思表示が難しいです。そのため意向に沿ったケアの方向性が定まらない時があります。そのため、ご本人が出来ない部分を家族が代弁して下さると施設も非常に助かります。また、時間が許すのであれば面会に来てご本人のお顔を見て下さい。

いつ何が起こるかわからない状況のなか、ご本人の状態を実際に見ているご家族であれば施設側も非常に連携が取りやすいです。

家族も看取りケアの重要な一員

施設のスタッフだけでケアが提供されていると思われがちですが、看取りにおいて家族の役割というのが非常に大切になります。

先程のような本人の意思を代弁する以外にも、ご本人の横で声を掛けたり身体に触れたり。反応は無いかもしれませんが、その声や感触はきっとご本人に届いています。この温もりはスタッフが提供できるものでは到底ありません。

スタッフは家族に近い存在にはなれても、完全なる一員にはなれません。ご本人のなかに残っている昔からの記憶や感触、その方にしか届かないメッセージは家族でなければ伝える事が出来ません。ですので、ケアの重要なメンバーという認識を持って頂けると幸いです。

実践している施設は力量がある証拠

以上の説明だけでは看取りケアの大変さが伝わりにくいかと思いますが、難しい点が多く、対応に苦労します。

細やかな様子観察や多職種との連携、緊急時の対応など色々なことが同時進行で求められます。亡くなり方は人それぞれであり対応方法もマチマチですので画一的な動きは一切ありません。ケースの1つ1つが新しい出会いになります。

しかし、全ての特養が看取りケアを実践しているかと言うと、必ずしもそうとは言えません。私の体感ですが全体の6割程度しか行っていません。

そのため、看取りを行っている施設は職員の力量があると判断しています。特養以外にも色々な老人ホームへ足を運んでいますが、取り組みの有無によって施設の雰囲気や声の掛け方など様々な部分で印象が変わってきます。

看取りケアの有無が良い施設を見極める1つの指標

特養に限らず介護付有料やサ高住など、看取りケア実践の有無が、質の高い老人ホームを見極める判断材料の1つになるでしょう。

施設が生活の場であるにも関わらず、入居者の最期までを一手に引き受けてくれる施設はそう多くありません。ニーズが高まっているとはいえ、実践に向けての壁は高いです。そういった壁を乗り越え、実際にケアを提供しているということは、それだけで良質なケアがなされている証拠です。

ケアハウスなどの元気な方が入居する施設は対象外ですが、もし施設をお探しの際には「看取りケアの有無」も是非チェックしてみてください。