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皆さんはシニアライフをどのようにイメージしているでしょうか?それによって選ぶ施設が大きく異なってきます。

施設の種類ごとに特色や役割が違いがあることは、(リンク)施設ごとの違いを知ろう!で個別に説明しましたが、それらを上手く使い分けることが出来れば自分の生活をより充実したものに出来ます。

今回は「1つの施設で終身まで生活を続ける」方法と

「心身の状態変化に合わせた施設を転々とする」方法

2つに分け、それぞれのメリットやデメリット、気を付けるべき点などを説明していきます。あなたのイメージする生活や現状と照らし合わせながら参考にしてください。

 

1つの施設で最期まで生活する場合

このケースに該当する施設は「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」の3つです。こういった所で最期まで生活する場合、どのようなメリットやデメリットがあるでしょうか。

メリット デメリット
◆施設が第2の住処となる
◆重介護になっても継続して入居できる
◆費用が高額になりやすい

上記3つの施設であれば、そこが第2の住まいとなります。同じ入居者や職員が今までの近隣住民のような付き合いに変わります。長く生活することで顔馴染みの関係が出来、施設がより良いコミュニティとなるでしょう。

また、介護が必要になる、あるいは重介護により寝たきりの状態になったとしても退去を迫られることはありません。
※時折、重介護により退去を提案される所もあります。事前に退去要件は確認しておきましょう。

思い切って生活の場を自宅から老人ホームへ移すことは勇気のいる判断ですが、こういった決断によって老後の心配や不安が大きく減ったという方も沢山いらっしゃいます。ズルズルと選択を先延ばしにしても自身の体は衰えるばかりです。そのうち自分では判断できなくなる恐れも十分にあります。

もし、老人ホームを「次なる生活の場」とお考えであれば、動くのは早めの方が良いでしょう。

(リンク)人生の最期を「施設」にする人が増えている

(リンク)老人ホームは「最期に至る前」の安心・安全を確保できる

ただ、こういった場所で生活を続けるのであれば、多少のコストは掛かります。3つのタイプそれぞれ約20万円/月 ほどは必要でしょう。有料老人ホームであれば入居金も必要経費となりますので、お金に余裕のある方でないと、この選択が出来ないのが現実です。

なかには自宅や土地を売却して得たお金で老人ホームへ移り住む人もいらっしゃいます。そうやって金銭を工面する方法もあります。

70歳で介護付有料老人ホームへ入居したAさん

Aさんは私の家族の友人です。以前は私の家を何度も訪れていましたが、70歳で介護付有料老人ホームへ入居し、83歳で亡くなりました。以下のエピソードは私の家族から聞いた話です。

Aさんは夫を早くに亡くしてしまい1人での生活を続けていました。しかし、日々老いていく自身の体や今後の生活に不安を覚え始め、有料老人ホームを探すようになります。市内にある自立から入居できる介護付き有料老人ホームを見つけ見学すると、入居者がそれぞれの趣味などを楽しんでいました。施設での生活も充実することが可能なのだと感じたことや、ここであればスタッフが常時いるため相談にも乗ってくれると入居を決意。

入居後は趣味であった大正琴を入居者と一緒に演奏したり、時には大会にも出場したりと充実した毎日を送っていました。
次第に体も衰え始め、常時介護を必要とする状態になり介護棟へ移りました。古くから付き合いのある入居者や職員と出来る範囲で話を楽しみながら、最後は慣れ親しんだ自分の居室で息を引き取りました。

幸いにも金銭的に余裕があったらしく、市内では割と高めの介護付有料老人ホームへ入居しました。そこで趣味の大正琴を他入居者や私の家族と一緒に演奏して楽しんでいました。

また、Aさんにとって良かったことが、10数年と長く入居していたため、他入居者や職員と家族のような関係を築くことが出来たことです。自宅での1人暮らしに不安を感じていたため、周りに気軽に声をかけることのできる人がいる安心感は非常に大きかったと言えるでしょう。

そんな施設で最期を迎えることが出来たAさんは本当に良い選択をしたと思います。「死ぬまで入れる施設が良い」と言い、そこも条件に施設選びをしていたそうです。

同じ施設で最期まで生活するために必要なこと

◆候補は「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」の3つです。
◆最後の看取りまで対応は可能か入居前に必ず確認しておきましょう。
◆施設内での自由度は高いか確認しましょう。
◆入居金や月々の支払いは可能な範囲か確認しましょう。
◆「自分で決断できる今しかない」という意識が重要です。

3つのタイプからベストな施設を探した方が良いでしょう。その際に必ず「看取り対応の有無」を確認しておきます。ここを見落としてしまうと、最後の最後で別の施設を探す羽目になります。

(リンク)退去要件を事前に確認しておこう!

費用は高額になりますので、自身の使える範囲での資産や年金と入居金や毎月の費用を比較しましょう。ここを見誤って、せっかく高額な有料老人ホームへ入居したにも関わらず95歳という年齢になって資金が底をつき、特養へ移った方が実際にいます。

(リンク)資金計画を立てよう

また、非常に大切な心構えですが、高齢者が今後の生活を決断する際は「先延ばしにしない」ようにしましょう。

自身の人生にも関わらず「まだ大丈夫。」などと後回しにしていった結果、病気や急激な衰えによって自分では判断が出来ず、家族や地域包括支援センター、ケアマネジャーの判断で老人ホームへ入所させるケースが山ほどあります。

老いとは「何を選び、何を捨てるのか」という取捨選択です。自分で選ばなければ全て捨ててしまう結果になり兼ねないです。ハッキリと考え決断できる今が1つのチャンスと考えた方が良いでしょう。

 

心身の状態に合わせて転々とする場合

先ほどのような1つの施設で生活を続ける方法とは異なり、衰えによる心身の変化に合わせて施設を次々と変えていくこともあります。

この場合、選択肢となる施設は幅が広がります。STEP2で説明した施設ごとの特徴をしっかりと踏まえた上で使い分けることが重要になります。

メリット デメリット
◆費用を抑えることが出来る ◆その都度次の施設を探す面倒がある
◆介護が必要になった際は自力で探すことは不可能

多くの方が悩みがちな費用面を安く抑えることが出来るのが最大の特徴です。

例えば『ケアハウス(自立~要支援)』⇒『グループホーム(要介護)』⇒『特別養護老人ホーム(~看取り)』など、比較的安い施設を転々とすることで年金内で賄うことも可能です。

例のようなパターンでは最後の特養入所が難しいですが、ケアハウスやグループホームは比較的空きがあり自分のタイミングで移りやすいです。

特養入所までの待機先として介護老人保健施設もあります。老健であれば所得による負担減免もありますので、グループホームより更に低額で生活を続けることも可能です。

ただ問題点としては、支援や介護が必要になり次へ移る先をその都度探す必要があります。家族がいれば手間はかけてしまいますが、次なる住まいを探してくれるでしょう。しかし、家族も仕事や育児があるなかで慣れない施設探しをするわけですから、負担は大きいです。

また、そのような状態では自力で施設を探すことは不可能に近いです。家族の力も乏しく、ご本人の意向が無ければ、施設の相談員やケアマネジャーなどが連携して次なる住まいを探すでしょうが、そこにアナタの意思は含まれていないかも知れません。

 

年金内で次なる施設へ上手に移ったBさん

Bさんと家族は私の地域包括支援センターで担当した方です。ケアハウスに入居した際に初めて関わりを持ち、その後は家族からの相談に適宜のってきました。Bさんたちは今後の施設について打ち合わせをしていたため、比較的スムーズに、かつ本人の年金内で施設費用を賄うことができています。

要支援1の認定を受けケアハウスへ入居してきたBさん。年金は月13万円ほどで、預金は約100万円。居室の掃除などで週1回のヘルパーを利用しながら生活を続けていました。入居の際に家族と今後の生活について話し合い、「自身の年金だけで費用を賄う」「要介護の認定になったら老健へ移る」「要介護3以上になったら特養へ申し込みをする」と決めていたそうです。

ある日Bさんは自室で転倒したことを機に入院。退院時はケアハウスでの生活が到底できない状態であったため、区分変更を行い要介護2の認定を受け、家族が予め目星をつけていた老健へ移ることになりました。そこで落ち着いた生活を続けていましたが、次第に認知症のような症状もみられるようになり、要介護3の認定が下りたため家族が複数の特養へ申し込みを行い、つい最近特養へ入所しました。

次なる施設探しはバタバタしたそうですが、ケアハウスから現在の特養まで、全て本人の年金で賄うことが出来ているとのことで、家族も安心しています。

このように心身の状態に合わせて住まいを変えていくことも可能です。ケアハウスや老健、特養などの自治体から補助を受けた施設であれば年金内で入居することも出来ます。

また、Bさんの事例では入院時やケアハウス退去の際、特養へ入所する時など少々バタついたそうですが、本人と家族が事前に打ち合わせをしていたため迷うことなく動くことが出来ていました。

施設を転々とする場合に大切なこと

◆次の施設へ移るタイミングを決めておきましょう。
◆「自分は施設でこういった生活がしたい!」という要望は予め伝えておきましょう。
◆家族としっかりと協議しておきましょう。
◆延命治療をするか否か予め決めておきましょう。

以上が施設を転々とする際の注意点です。

Bさんの事例のように家族も含めて今後の施設での生活やタイミングを決めておくことが最善だと思います。結局は家族が動くことになりますので、その人たちが迷わないよう、予めアナタの意思を伝えておくべきです。

また、意外と少ないのが延命治療などに対する意向を示していないケースです。こういった意思表示をしないままだと、入院などした際にあれよあれよと処置が進み、気がついたら胃ろうになっていた。なんて事がよくあります。

「胃ろうなんて絶対に嫌だ」と言う人は多いと思います。その意思表示は口頭ではなく文面で残しておいたほうが良いでしょう。最近では「エンディングノート」という老い支度に関わる本も出版されています。大切なことは口頭ではなく文書にしておきましょう。