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『老健ってどんな施設なんだろう?特養とは違うの?』
『入っても何か月かすると退去しないとダメなんでしょ?その次ってどうするんだろう?』

相談を受けるなかでこのような声をよく聞きます。

介護老人保健施設(老健)は在宅復帰を目指してリハビリをする介護施設です。

ですが、サービスの内容や看護師やリハビリなどの体制、費用など細かいことなど不明な点も多いかと。

管理人

そこで今回は老健の中身について細かくお伝えしていきます

これを読むことで老健がどのような施設なのか。そして老健に入居を考えている人が、どのような基準で選んだら良いのか理解できます。

どんな施設なのか?

冒頭でもお伝えしましたが、老健はリハビリをして在宅復帰を目指す施設です。

通常は介護を受けながら施設でずーっと生活を続けていくイメージでしょう。

しかし老健はそういったコンセプトとは異なり、家で生活ができるよう元気になってもらうための一時的な場所という形をとっています。

そのためリハビリの専門職や設備も整っています。また、医師が常勤でいたり看護師も多く配置されています。

それ以外にも特徴として・・・

◆特養の入居待ちとして生活している人も多い
◆より在宅復帰に特化したタイプもある
◆要介護1~5の方が入居可能
◆入居金は不要。月々12万~20万円ほどで生活できる
◆収入に応じてさらに費用が安くなる
◆医療・薬に対して制約がある
◆基本的に3~6か月で退去を促される

このような特徴があります。ここからさらに掘り下げて解説していきます。

まずは老健にいるスタッフについて。実際にどのような職種がどの程度いるのでしょうか。

老健にいる職種・人員

リハビリ職や医療職が多いとお伝えしましたが、国で定められている配置基準は以下のようになっています。

職種 基準
医師 常勤1以上 100対1以上
薬剤師 実情に応じた適当数(300対1が標準)
看護・介護職員 3対1以上(うち看護は2/7以上)
支援相談員 1以上 100対1以上
理学療法士
作業療法士
又は言語聴覚士
100対1以上
栄養士 定員が100以上の場合は1以上
介護支援専門員 1以上 (100対1が標準)

医師が常勤で1名いるのが老健の特徴です。医師の設置が義務付けられているのも老健くらいでしょう。

また、リハビリをする専門職も1名かならず設置するよう義務付けられています。

それぞれの職種の役割は以下のようになっています。

職種 役割
理学療法士(PT) 歩行訓練や運動療法によって身体の回復を目指す
作業療法士(ST) 食事や排せつ・入浴など日常生活の動作を通じて回復を目指す
言語聴覚士(OT) 言語や飲み込む力の回復を目指す

ほとんどの老健は理学療法士を置いています。また基準では1名以上でしたが、施設によっては2・3名いるところもあります。

看護師の配置

上にあった人員基準の表では看護師の人数がわかりにくかったと思います。

例えば定員が100名の老健なら9人の看護師がいます。

これはあくまで在籍数です。実際にフロアで働いているのは3名前後でしょう(日中の場合)。

管理人

また、夜間も看護師のいる老健が多いです

看護師が24時間体制でいるのも老健の特徴の1つです。医療面が整っているのでインスリンの自己注射など、特養では断れるような方でも受け入れができます。

夜間は1名体制のことが多いですが、夜の時間帯に看護師がいるのといないのでは対応の幅に大きな違いが出てきます。

特養の入所待ちで生活している人も多い

老健はリハビリに特化した施設だとご紹介しました。

確かに在宅復帰にむけて頑張っている老健もあるのですが、そうでない目的で入居する方も多くいらっしゃいます。

実際、いまの老健は特養に入りたいけど入れない、待機の施設になっている側面もあります。

管理人

なので1年以上ずーっと老健で生活している人もいます

「従来型」という老健に多いのですが、老健=在宅復帰ではないのが実情です。

よりリハビリに特化した「強化型」老健がある

ですが、それでは老健の存在意義が失われてしまいます。

そのため「強化型」と呼ばれる、より在宅復帰を強化した老健が出来ています。

管理人

在宅復帰率やリハビリの提供回数など厳しい条件を満たした施設が「強化型」となれます

さらには「超強化型」などもできており、老健は在宅復帰にむけてより独自性を編み出そうと頑張っています。

家族

その「強化型」とか「超強化型」の老健ってどうやって探せばよいの?

と思われるでしょう。

全国老人保健施設協会のホームページで超強化型や強化型の老健がどこにあるか調べることが出来ます。

管理人

家で生活することを本気で考えているなら、こういった老健から当たっていくと良いでしょう

入居条件は要介護1~5の認定を受けていること

では、どういった方が老健に入居できるのか。

管理人

それは要介護1~5の認定を受けていることが条件です

要介護4・5の寝たきり状態でもOK。介護度が重くなったことで退去させられることもありません。

部屋は多床室・2人部屋・個室とさまざま

これは老健によって変わってくるのですが、

◆4人部屋
◆2人部屋
◆個室

この3種類があります。

古い老健だと多床室が多く、ここ最近できた老健は個室になっている場合が多いです。

老健での費用

医師もいて看護師が夜もいる。またリハビリも充実している。

『そうなってくると料金も高いんじゃないの?』と思うのではないでしょうか。

管理人

いえいえ。入居金は不要で月12~20万円くらいで生活できます

  第1段階 第2段階 第3段階 第4段階
多床室 10,000 72,000 85,000 120,000
個室 900,00 140,000 170,000 210,000

多床室で12万円ほど。個室だと21万円。

しかも老健の凄いところは収入に応じて安くなる「介護保険負担限度額認定」という制度を利用できることです。

市民税が非課税の世帯であれば第2・3段階となります。

※第1段階は生活保護の方

これにより食費・居室代が安くなることで、入居費用も下げられます。

管理人

そのため多床室であれば年金でやりくり出来る方も多くいます

この表の金額とは別に、美容室代や個別で購入した嗜好品などの料金などが加わるので、+1万円は見ておいた方が良いでしょう。

医療職が多く、人件費がかかる関係で特養と比べると高くなりますが、それでも入居金が不要でこの値段。人気の高さが少しご理解いただけたかと思います。

※強化型・超強化型だと毎月の費用が数千円ほど高くなります

医療費は施設利用料に含まれている

特養や別の施設の場合、診療費や薬代は別で請求があります。

しかし老健では施設の利用料のなかに診療費・薬代が含まれているので、医療費を気にする必要はありません。

老健にいる医師が診察を行い処方箋を出します。これも提供するサービスの1つですので、別途で請求が来ることはありません。

管理人

ただし入居の際に制約がでてきます

診察・処方薬に関する制約がある

医療費が利用料に含まれているのは安心ですが、デメリットもあります。

主なものを挙げていくと・・・

①施設で処方できない薬を飲んでいると入居できない
②薬の量が多いor飲んでいる薬の金額が高い
③医師の指示が無いと別の病院にかかることが出来ない

①について例を挙げるのであれば認知症の改善薬(アリセプトなど)や点眼薬は処方できない施設が多いです。

※緑内障・白内障の点眼薬については施設薬に変更可能であればOK

また②ですが金額が高くなればなるほど施設側が損をしてしまいます。公的な施設とはいえ経営に関わることなのでシビアに判断してきます。

管理人

種類で言えば10ほど。金額にすると1日500円を超えると厳しいです。

③はこれも老健独自のシステムですが、病状管理を全て施設で行うので別の病院に通うことは基本的に国が認めていません。

老健にいる医師・看護師で病状管理をするので、老健に入るとそもそも病院への受診がなくなります。原則は。

ただ、場合のよっては受診が必要なケースも出てきます。そういった特別なときだけ受診する・・という形です。

そうでないと保険適応されず全額自己負担となります。

管理人

どういう受診ならOKなのか、についてはあまりに複雑なので説明は省きますが、基本的に老健ではほかの医療機関にかかることは無いと思ってください。

看取り介護は行わない老健がほとんど

看取り介護とは人生の最期を住み慣れた施設で迎えるためのケアです。

通常、老衰による危篤になると入院して点滴治療だけして最期を迎える・・・という形をとっていますが、そのような段階になっても余計な治療はせず、安楽に最期を迎えてもらうケアを看取り介護と呼んでいます。

しかし老健は、在宅へ戻ることを目指しているので施設で亡くなることを前提にしていません。とくに前述した「強化型」などでは顕著です。

管理人

ただ近年、看取り介護を行っている老健は増えつつあります

養に入りたくても入れない。そういった方たちがそのまま最期を迎えることも多々あります。

「老健の特養化」と言われることもありますが、在宅復帰を強く目指そうとしていない老健だと看取り介護をしているケースが多いです。

特別養護老人ホームとの違い

ここまで解説してきたなかで何となくイメージ出来てきたと思いますが、特養と老健はコンセプトからして異なってきます。

  特養 老健
コンセプト 介護度の重い人が生活する場 在宅復帰にむけてリハビリする場
入居条件 要介護3~5 要介護1~5
人員 介護・看護師がメイン 看護師も多く、医師・リハビリ職もいる
入居期間 終身 原則3~6か月
入りやすさ 待機者が100人以上 入退去が多く入りやすい
費用 入居金なし
月10~16万円
入居金なし
月12~21万円

1番の違いはコンセプトです。在宅復帰に向けてリハビリをするための施設ですので、特養のような生活の場とは環境が異なります。

ただ、特養の入居待ちとして老健を利用する人も多く、そういったニーズに合わせて長い期間を老健で生活している人たちもいます。

管理人

「半特養のような老健」と「在宅復帰にむけてリハビリを頑張る老健」の2極化が進んでいると言えるでしょう

どちらが良い悪いというわけではありませんが、自分たちがどういった目的で老健に入りたいのか、そこの老健のコンセプトはどうなっているのか。吟味してから入居するようにしましょう。

入退去が多いため入りやすい

特養だと待機者が100名を超えるところがほとんど。当然、何か月も待機することもしばしば。

ですが老健では入居退去の入れ替わりが多く、ほとんど待つということがありません。

管理人

特に強化型はほとんど空きがあります

私も老健を探すことが頻繁にあるのですが、強化型でない老健でさえすぐ入居できることがほとんど。

『どうしてもココの老健が良いです』と、一か所に強くこだわるご家族もいますが、どんなに長くても1か月もすれば入居できます。

複数の老健をあたればすぐ入居できるケースが大半でしょう。

管理人

老健=すぐ入れるという認識で構いません

申し込みの方法・入居までの流れ

申し込みは各施設に行います。

施設ごとに所定の申込書があるので記入→提出という流れです。

管理人

申し込み数に制限はありません。好きなだけ申し込んで大丈夫です。

申し込みのあと順番がくると施設から連絡があり、次のように進んでいきます。

入居までの流れ

一般的な流れとしては以下のように進んでいきます。

①面談
②入居判定の会議
③OKなら必要書類を準備
④入居

①~④まで約2~3週間ほどかかります。

③の必要書類は健康診断書や紹介状などを求められることが多いです。

老健のメリット・デメリット

以上が老健の解説になります。

ここまでを整理し、老健に入居することのメリット・デメリットを分けていくと・・・

老健のメリット
◆費用が安く年金で賄えることも多い
◆リハビリが充実している
◆夜間も看護師がいる
◆要介護1~5まで入居できる間口の広さ
◆特養の次に数が多く、待機期間も短い

 

老健のデメリット
◆3~6か月で退去しなければいけない
◆受診や薬で制限がある

老健の最大のネックは短期間で退去しなければダメなところです。当然、次の施設を探す必要があるのでご家族の負担は大きいでしょう。

管理人

しかし1年以上も入居させてくれる老健があることも確かです

なかには「1年以上」「特養に入れるまで」など長く生活できる老健もあります。

申し込みをする際に長期間の入居ができるか問い合わせてみると良いでしょう。

老健の活用方法。皆さんはどのような目的で利用しているのか

では実際に老健を利用している人たちはどのような用途をしているのか。

①家で生活するための一時的なリハビリとして
②特別養護老人ホームの入居待ちとして

大きく分けると2種類になります。

①家で生活するための一時的なリハビリとして

本来の老健の活用方法です。

家で生活に必要なレベルまで回復させるために一時的に入居します。

管理人

こういったケースでは「強化型」の老健に入ることをお勧めします

「強化型」や「超強化型」として運営していくためには在宅復帰率などの数値が求められます。

そのため家で生活するために、どのような能力があれば良いのか・どの程度まで回復させる必要があるのかなど対応が細やかです。

強化型・超強化型はそこまで数が多くありませんが、家での生活を望むのであれば強くオススメします。

②特別養護老人ホームの入居待ちとして

前述のとおり1年以上入居している人も多い老健では、こういった活用をされる方が多いのが現状です。

強化型ではない老健に申し込みをする際に『特養に入りたいたんですけど・・』というと、向こうから長期の利用を案内してくれるケースもあります。

料金も安くて受診に同行する必要もない。家族の負担も大きく軽減されるので重宝するでしょう。

管理人

ただ、長期間の受け入れをOKとする老健では待機者が多くいる傾向にあります

第2の特養のような状態になっている老健では希望者が増え、思うように入居できないケースも稀にあります。

そうなってくると次に入れる施設が見つからない。そういう人たちは別の老人ホームを探す必要がでてきます。

有料老人ホームやサ高住なども検討していく

特養には入れない。老健も待機がある。そうなった場合は他を当たっていきましょう。

◆介護付き有料老人ホーム
◆住宅型有料老人ホーム
◆サービス付き高齢者向け住宅
◆グループホーム

こういった施設を特養や老健の繋ぎとして活用する方も多くいらっしゃいます。

料金が20万円を超えるため高くなってしまいますが、他に方法はありません。

管理人

入居金不要の有料老人ホームや安い初期費用を安く抑えられるサ高住なども沢山あります

もし経済的に余裕がない・・という場合でも安い有料老人ホームやサ高住・グループホームは多いです。

そういった施設に一時的に入居し、老健や特養から声が掛かるのを待ちます。

一旦は老健に入った方が3~6か月で退去となり、次を探さなければいけなくなったときも同じです。

老健→老健ができれば良いですが、そううまくいくとも限りませんし、老健に入ってまた退去と入居を繰り返すのも辛いです。

なので、入退去の手間を省くのであれば有料老人ホームなどを当たるのも効果的です。

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