Pocket

『認知症になったらどういう老人ホームに入れるんだろう?』
『施設に入って認知症が進んだら嫌だな・・・』

などなど、認知症が進んだり、症状が出てきたことで老人ホームへの入居を考えている人もいるのではないでしょうか?

しかし初めての老人ホーム選びでは、どういった施設があるのか、どんなところを選んで良いのかわからないと思います。

また、施設に入ることで「認知症が進むんじゃないか」と心配される方もいらっしゃるでしょう。

今回は認知症の方たちの老人ホーム選びをお手伝いしてきた経験から

◆老人ホームがどのような認知症ケアをしているのか
◆入居すると認知症が進行するのか
◆認知症の方の老人ホームの選び方

こういった点についてご紹介していきます。

これを読むことで老人ホームで実際に実践している認知症ケアを知ることが出来たり、どのような基準でどんな施設を選んだらよいか、ご本人に合う場所が見つけられるか、などが理解できるでしょう。

老人ホームではどのような認知症ケアをしているのか

まずは老人ホームで実際にどのような認知症ケアをしているのかご紹介していきます。

介護施設のほとんどは認知症の方が入居しています。そのため認知症の方へのケアは施設にとっても最重要な項目といっても良いです。

認知症の方でも、その人らしく、笑顔で過ごしてもらうためにどのような工夫をしているのでしょうか?

自宅でやっていたことの延長を本人のできる範囲でやってもらう

認知症ケアで最も定番、そして最も効果のあるケアの1つです。

私の持論でもありますが認知症への対応で1番良いのは「認知症になる前の生活を続ける」ことです。

◆専業主婦で家事をしていた方には掃除や洗濯・料理などをしてもらう。
◆編み物が好きだった方なら施設でも編み物をする

など、ご家族などから以前の様子を聞きながら、なるべく以前と変わらないスタイルを続けられるようケアしています。

管理人

交通整理をしていた方には、誘導棒をもってもらい入居者やスタッフの行き来を案内してもらう、といったことも実際にありました

koutsu_seiri

帰宅願望や徘徊などが落ち着かない方だったのですが、案内棒を持たせると黙々とお仕事をされていた・・・なんてことも。

このように、入居前やその後にご本人の生活歴を聞きながら、人生のなかで関心の強かったものへフォーカスして、その人に合ったケアを提供しています。

体操やレクリエーションも認知症ケアの1つ

一見すると体を動かすことは認知症と関係ないように見えますが、これも立派な認知症ケアの1つです。

運動することによる認知機能の維持・向上は色んな研究でも効果が認められています。

◆毎朝のラジオ体操
◆高齢者向けの体操
◆入居者同士でおこなう風船バレー
◆クイズや将棋・囲碁、楽器の演奏など

さまざまなレクリエーションや運動が老人ホームには用意されています。

管理人

入居者の体や認知症の進行度合いによってレクリエーションの種類を分けて提供しているので、どんな方でも安心して楽しく参加することができます

認知症や体の状態などは入居者によってバラバラですが、似たような状態の方たち同士で行っているので1人だけうまく参加できない・・・なんてことにはなりません。

外出や買い物イベント

社会との関りを持ち続けることも認知症ケアにはとても有効です。

◆花見や紅葉など季節ごとの花を見に行く
◆スーパーやショッピングモールで買い物
◆外食
◆地域のお祭りや初詣など

など、その時期に合わせたイベントや外出を行うことで、社会との関係を持ち続けたり、外の空気を吸うことでのリフレッシュなど色んな効果が期待できます。

管理人

なかには買い物ができるよう業者がきて施設のなかで買い物ができるイベントをしている施設も

外へ出られる方ばかりではありませんので、介護度の高いかたへ向けたイベントもあります。

こういったイベントにご家族と一緒に参加することで、より楽しい時間につながるでしょう。

安全対策もバッチリ行っている

なかには家に帰ろうとして施設を出ようとしたり、入居者同士でトラブルになることも。

家族

家にいた時から外に出ては徘徊を繰り返してたから・・・施設でも大丈夫かしら

このような心配をされるご家族も多いです。しかし、老人ホームでは認知症の方が多くいらっしゃるので、皆様が安心して生活できるための環境をバッチリ整えています。

◆外へ出られる扉はすべて暗証番号つき
◆一定の場所を通るとセンサーが反応して教えてくれる
◆トラブル防止のためフロアに最低1人はスタッフがいる
◆帰宅願望があったら、時間をかけて傾聴したりご本人の落ち着く作業や仕事をお願いする

などなど施設のよって色んなケアをしています。

認知症のかたが不安になることで外へ出て行ったり、他者とのトラブルや事故に発展することも。

そのため施設では事故を防ぐための委員会などを設置し、未然に防ぐための方法を検討するなどをしています。

以上が老人ホームで提供している認知症ケアです。

管理人

取り組んでいる内容に関しては施設によってマチマチですが、認知症の方へどれだけ個々にケアを提供しているかが施設のレベルを推し量る1つの基準でもあります。

良いケアをしている老人ホームの見分け方については最後の方に述べていきますが、次は施設で生活することで認知症が進むのか?という点についてお話していきます。

老人ホームに入居すると認知症が進行するのか?

老人ホームを考えている方たちのなかには・・・

家族

施設にはいると認知症が進むって聞くけど。本当かしら

と心配される方がいらっしゃいます。

確かにそういった側面はあります。ですが、必ず進行するわけではありませんし、一時的にそうなるだけのケースもあります。

この章では、施設に入ることで認知症の方にどのような変化が起きるのか、実際に私がみてきた体験談ベースでお話していきます。

【進行する要因①】環境が変わることで不穏になる

恐らくここが1番の要因ではないかと考えられます。

いままで住み慣れた自宅での生活だったのが、急に知らない場所・環境での生活をすることになります。

管理人

環境が変わることは認知症の方にとっても負担が大きいです

それにより不安が強まり、自宅にいた頃よりも徘徊やブツブツと喋ることが増えたり、帰宅願望が強まったりと、症状が進んだように見えます。

しかし、ある程度そこで生活すると自然と慣れてくるものです。

私たちもそうですが、新たな環境はやはりストレスがかかります。でも1か月もすると慣れてくるのではないでしょうか?

管理人

これは認知症の方にも同じことが言えます

初めはどんなに馴染めなくても1か月もすれば落ち着いて生活することができます。

入居することで認知症が進んだように見えても、それは一時的なことが多いです。

環境が変わったことで一時的に混乱しているので、そこを認知症が進んだと混合しない方が、ご家族としても気が楽だと思います。

【進行する要因②】関わる人が変わって馴染めない

これも①と同じですが、場所だけでなく関わる人も変わってきます。

デイサービスやショートステイなどを普段から利用していた場合は症状がそこまで強く出ないこともあるのですが、入居者やスタッフなど、新たな場所になると人も変わってきます。

管理人

初めての人ばかりで馴染めずに認知症の症状が強く出るケースがあります

介護抵抗や普段はない排泄の失敗など、場所だけでなく人が変わることで認知症の症状がでることも。

ただ、この点についても慣れてくれば次第に落ち着いてきます。

老人ホームは、入居者やスタッフの顔ぶれがほとんど変わることはありません。

初めはどんなに抵抗を示していた方でも次第に慣れてきて、自宅にいた頃と同じような様子になっているでしょう。

管理人

初めの1か月は場所・人が変わることで一時的に認知症の症状が強まってしまいますが、慣れとともに落ち着いてくるので、長い目で見るようにしましょう

【進行する要因③】主治医が変わることで薬が変わる

在宅で認知症に関する受診・服薬をしている方も多いでしょう。

老人ホームに入ることで主治医が変わるケースもあります。

管理人

主治医が変わることで処方される薬や量が変わり、ご本人の様子も変化してくるケースがあります

認知症に関する考え方も医師によって異なります。それによってご本人の様子も変わることが稀ですがあります。

ただ、悪い方向へいったとしても日頃の様子を介護・看護スタッフが医師へ伝え、薬を調整してくれます。

また、薬が変わったことで逆に症状が落ち着くケースも。

もし不安であれば、施設にスタッフに受診や薬に関する今までの経緯を伝えたり、処方を変えないようお願いしてみるとよいでしょう。

【施設だから出来るケア】介護・健康・栄養・レクリエーション、バランスの取れたケアが認知症ケアに非常に有効

逆に老人ホームだからこそできる認知症ケアも非常にたくさんあります。

数えたらキリがないのですが、1番は・・・

◆24時間体制の安心した介護
◆看護師・医師による病状管理
◆バランスの取れた食事
◆充実したレクリエーション
◆睡眠時間を確保するためのケアや服薬調整

など、あらゆる面からバランス良くケアが受けられることにあります。

認知症の症状というのは些細なことから出てきます。

食事量が減ったり睡眠時間が短かったり・・・。少しのことで不安な様子や徘徊が出たりします。

在宅で介護をしていらっしゃる方であれば心当たりがあるかもしれません。

ただ、施設であればこういったケアに対して多方面からアプローチできます。

管理人

もちろん全てが常にバランスよく、というわけにはいきませんが、少なくとも在宅生活よりは整った環境にあると思います

初めての環境に最初は戸惑っていた方も、次第に笑顔が増え、自宅と同じように落ち着いた雰囲気で生活している方も非常に多くいらっしゃいます。

だからこそ入居=認知症が進む、とは思わないで欲しいな、と個人的に思います。

認知症の方の老人ホームを探すときのポイント

では最後に、認知症の方の老人ホームを探すときのポイントについてご紹介します。

老人ホームも色んな種類があり、タイプによって特徴が変わってきます。

家族

どんな老人ホームを選んだら良いだろう

と迷われると思うので、認知症の方に合いやすい施設をご紹介していきます。

認知症ケアにもっとも優れているのがグループホーム

認知症の方が入居する1番の候補といえば『グループホーム』です。

ここは認知症の方だけが入れる、少人数で家のような雰囲気が溢れるタイプの施設です。

グループホームとは?その特徴を知る4つのポイント

項目 内容
運営主体 社会福祉法人や民間企業などさまざま
入居条件 ・要支援2~ ・認知症の診断がある
費用 入居金で約30万円 月に約20万円
部屋 個室
特徴 家に近い環境、落ち着いた雰囲気で生活できる

「認知症の方たちが自宅のような雰囲気でゆったりと」がコンセプトの施設です。

当然そのような環境やケアの体制が整っています。

管理人

もし自分の家族が認知症になったら、まずはグループホームに入居させたい。そう思えるほどです

入居者やスタッフは顔なじみ。スタッフの見守りのもと料理や掃除など今までどおりの生活が送れる。

天気の良い日には散歩をして気分転換。

そんな穏やかな空間になっているグループホームは是非ともオススメしたい施設の1つです。

管理人

ただ、介護度が重くなると退去となるケースもあるので注意しましょう

体は元気だけど認知症、という方が多い施設ですので、要介護4・5あたりになってくると退去となるケースがあります。

終身の利用は難しいですが、認知症によって不安になりやすいならば候補に入れておくのは良い選択だと思います。

近くにあるグループホームを探してみる

介護付き有料老人ホームもオススメ

続いてオススメできるのは介護付き有料老人ホームです。

管理人

費用はグループホームと比べると高くつきますが、個別対応の柔軟性という意味では抜群です

項目 内容
運営主体 主に民間企業
入居条件 要支援~や要介護~ などさまざま
費用 入居金0円~数千万円 月に約20万円~
部屋 個室がメイン
特徴 個々の要望に柔軟に合わせたケアが出来る

入居一時金に何百万円も必要だったり、毎月の費用も20万円ほど必要です。

ですが、費用がかかる分、ご本人やご家族の希望に合わせた個別のサービスなど、柔軟に対応できる点が介護付き有料老人ホームの大きなメリットです。

管理人

認知症の症状や対応方法は十人十色です。そのため個別に細やかな対応をしやすい施設は認知症の方にとても良い環境と言えるでしょう

職員を多く揃えている介護付き有料老人ホームも多いので、もし経済的に余裕があるならば候補に入れてみると良いです。

住宅型・サ高住などのサービス外付けは馴染みの関係を築きにくい

介護付き有料老人ホームと同様に費用の高い施設と言えば

◆住宅型有料老人ホーム
◆サービス付き高齢者向け住宅

この2つがあります。

両者ともに金額に見合った設備やサービスがあるのですが、認知症の方に合うかというと難しい側面があります。

管理人

それはサービスを外付けするため顔なじみの関係が作りにくい点にあります

住宅型・サ高住ともに介護や医療・リハビリなどサービスを受けたいときは、外部のサービス事業所を呼ぶ必要があります。

そのため受けるサービスによってスタッフや利用者が変わるため、グループホームや介護付き有料老人ホームと比べると慣れるまでに時間がかかります。

ご本人の状態や要望に合わせて自由にサービスを組み合わせられるメリットはあるのですが、慣れることが最優先だと考えると、やはり別の施設を優先的に当たった方が賢明でしょう。

年金内で入居したいなら特別養護老人ホームや介護老人保健施設も

有料老人ホームなどは月に20万円ほどかかるので経済的に難しい方もいるでしょう。

家族

できれば年金だけで賄えたら助かるんだけど・・・

そういった方であれば特別養護老人ホームや介護老人保健施設が良いでしょう。

認知症ケアにそこまで特化してはいませんが・・・

◆入居者・スタッフは毎回同じ(ほとんど変わらない)
◆介護・医療・栄養など色んな面からバランスの取れたケアが受けられる
◆費用を年金で賄える

こういったメリットがあります。

特養の場合は待機者が多くて入るのが難しい。老健は3~6か月で退去しなければいけない、などの留意点はありますが、お金の事情も考慮するのであれば選択肢にいれるべき施設と言えるでしょう。 

認知症ケアが充実している老人ホームの見極め方

では最後に、認知症のケアが充実している老人ホームの見極め方についてご紹介していきます。

といっても方法は普段と変わりません。基本が出来ているか見極めれば、イコールで認知症ケアが充実していると言ってよいでしょう。

管理人

私が提唱している5段階のサービスをどこまで満たしているか?がポイントです

kaisou

これはスタッフが介護などのサービスの質を高めていく(人材育成)ために必要な段階を表しています。

1番下の「整理整頓」が出来ているかが最低限のチェックポイント。これが出来て初めて2段目の「挨拶・笑顔」を習得できるレベルに到達できます。

管理人

認知症ケアとは個人に合わせた柔軟な対応が求められます

整理整頓や挨拶など基本的なことが出来ていないのに、個別性に合わせてケアを柔軟に変えていく応用技はできません。

また、1つ階層を上げていくためには3年かかると言われています。

管理人

上の階層にいるということは、それだけ長期間かけて人材育成やサービスの向上に力を注いでいる何よりの証拠です

人によって基準はマチマチだと思いますが、個人的には2層目の「挨拶・笑顔」が出来ていればOKです。

整理整頓や挨拶・笑顔など見学してみないとわからないことでしょうが、もし気になる老人ホームがあるなら是非とも足を運んでみてください。

綺麗に片付いていて笑顔のある施設であれば、安全にそして楽しく充実した生活を送ることが出来るでしょう。

 

近くにある老人ホームを探してみる