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生活保護を受給するための手続きについては実際に申請から決定が下された方でなければ知ることは無いでしょう。必要な書類さえ提出すれば後は担当課の方で調査や面談を行うことで可否を下しますので、申請者の負担はそこまで大きくはありません。

ただ、具体的にどのような手順を踏んで進んでいくのかわからないままだと不安は大きいと思いますし、より申請を通し易くするための事前準備も行えないでしょう。

今回は相談から結果が決定されるまでの一連の流れをご紹介したいと思います。

 

① 相談

まず初めに生活保護の担当課へ相談を掛けます。電話で構いませんので今の状況を簡潔に伝え受給の意思を示します。

明らかに要件を満たしていない(収入や預貯金が多い、働ける同居人がいるなど)場合には、このタイミングで却下となり次に進むことが出来ません。

「現時点では何とか生活が出来ている」という状況では担当課の人も話を聞いてくれません。「いま困っているんだ!」ということを伝えてください。その方が耳を傾けてくれ易いです。

受給できる可能性がある場合には申請に向けた手続きを行います。高齢や障害などを理由に役所まで行くことが不可能な方を除き、必ず役所に行く必要があります。事情により行くことが出来ない人については調査員が自宅に来てくれます。

 

② 申請・書類提出

①を終え申請及び書類の提出を行います。世帯の状況によって必要な書類が変わってきますが、指定されるものとしては大体以下の通りです。

【共通して必要なもの】

◆銀行・信金・郵便局等の預貯金通帳(最新に記帳済みのもの)
◆健康保険証  ◆年金手帳  ◆認印
◆扶養義務者(親・子・兄弟姉妹)の住所・氏名・電話番号

扶養義務者の連絡先などは、今後の調査において扶養の意思があるかどうか問い合わせるために使用します。ここで誰かが扶養する意思を示した場合には申請は却下されてしまいます。

もし身内の連絡先などが分からなくても役所が戸籍調査などを行い、把握できる範囲で親族を洗い出していきます。

 

【あれば持参するもの】

◆介護保険被保険者証  ◆年金振込通知書  ◆年金証書
◆障害者手帳  ◆自立支援医療受給者証
◆前3カ月の給与明細書  ◆給与証明書
◆アパートの契約書  ◆家賃証明書
◆土地・建物の登記済証  ◆登記簿謄本
◆生命保険証書  ◆自家用車車検証  ◆運転免許証

被保険者証などの情報は役所内で検索出来ますので最悪提出できなくても問題ありません。ただ、車検証や生命保険書、家賃証明書、給与証明書などの金銭に大きく関わる資料に関しては、今後の調査において重要な書類になりますので「提出が遅れる=結果が遅れる」ことに繋がります。

 

③ 調査

書類提出と同時進行で③調査に進みます。自宅や入院先などに来て本人達の生活状況や収入と支出を聞き取りにて把握します。また、なぜ生活に困っているのか。保護を受けるための要件が満たされているかなどを調査します。

それ以外にも金融機関などへ照会をかけ、隠された資産が無いか確認します。この作業があるため、多額の通帳を提出せずに隠そうとしてもバレてしまいます。

ただ、家のなかを隅々まで捜索するわけではありません。そのためタンス預金などをされている方は見つかることがほとんどないです。当然タンス預金を推奨するわけではありませんが、これが制度の穴といえるでしょう。実際にありましたが、数千万円というお金を引き出しに隠しながら受給していたものの、ケースワーカーの突然の訪問によって見つかってしまい、今まで受給していた分(約300万円)を返還するよう求められたケースがあります。

(リンク)受給の際に持ってて良い物悪い物

 

④ 診断会議

提出書類や調査結果をもとに、保護の必要性を会議にかけます。メンバーは担当課の人間だけで構成されていることがほとんどです。

生活保護は「他法優先」というものがあります。他の制度などを利用することで生活が成り立つ場合にはそちらを優先して使う(生活保護は使わせない)という考え方です。

「障害年金が貰えるのではないか」「精神疾患の子供も治療させれば就労が可能ではないか」など、あらゆる策を講じていきます。

 

 

⑤ 決定

④の会議が終わり結果を書面でお知らせします。受給できる場合には「保護決定通知書」というものが、却下された場合には「保護申請却下通知書」が届けられます。

以上のように①相談⇒②申請・書類提出⇒③調査⇒④診断会議⇒⑤決定 という流れで手続きが進んでいきます。書類の提出スピードによりますが、おおよそ結果が下りるまで3~4週間ほどとなります。

結果が下りた場合には申請した日に遡って保護費が支払われます。

 

 

入院先からの申請だとスムーズに進む

在宅で生活している場合には①~⑤のステップを踏むため面倒です。ただ、入院している場合に限りますが、入院先の相談員などから生活保護の申請を行ってもらうと、かなりスピーディーに手続きが進むことが多いです。

担当課も病院から生活保護申請の連絡を受けると「緊急切迫ケース」という取り扱いで動くことが多いです。これにより、資料提出を待たずに調査を次々を行っていきます。

また、資料が無かったとしても本人達との面談や病院などからの聞き取りで、そのまま診断会議にかけてしまうこともあります。少し前に私が担当していたケースでも、入院先の相談員から生保の申請を依頼したところ、最終的な結果が下りるまでに要した期間は5日でした。私も担当課の方と金銭面などの情報提供を密に行ったこともあり、書類は一切提出しませんでした(特に向こうからも言われませんでした)。

入院することで生活に必要な最低限度額が変わりますので、入院をきっかけに生活保護を申請する方は多いです。ここを1つのタイミングだと心得ておきつつ、かつ申請依頼については病院から行ってもらうことで自身の負担は軽減されます。

(リンク)生活保護が受給できる基準はどのくらい?