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入りたくても入所できない。待機者が多すぎる。

特養への入所が難しいのは皆さんも聞いたことがあるとは思います。ただ、実際にどのような手順・流れで入所が決まるか知っている人は少ないです。

家族

確かに……。入るのが難しいって話はよく聞くけど…

ブラックボックスを明らかに!特養へ入所する方をどうやって決めているか包み隠さず紹介します!

「宝くじに当たるようなもの」とまで言われている特養の入所。

入りたいのに入れない。なぜこんなにも待たされるのか。そもそも自分のところに声が掛かるのはいつなのか?

そんな疑問や思いを抱える方が非常に多いです。

管理人

そこで今回は、入所の手順や流れについて、施設職員側の視点に立って紹介していきたいと思います。

自治体によって多少違うかと思いますが、あくまでも私の勤務する自治体での話をベースに進めていきます。

流れ① 申込書から優先順位のリスト作成

施設に寄せられた申込書から優先順位のリストを作成します。リストを男女別にしている自治体が多いです。

優先順位に関しては…

◆介護度
◆介護者はいるか?
◆いま生活しているのはどこか?誰と住んでいるか?
◆認知症の有無と進行度合い

こういった情報をもとに点数化していきます。

※自治体によっては提出からリスト作成までを役所で行う場合あり

管理人

待機者が計100名を超えることも珍しくありません

私の自治体では50~100名ほどの待機者で済んでおりますが、他の市町村では200~300、あるいはそれ以上になることも。

優先順位は定期的に見直される

入所希望者の状況は変化します。そのため定期的に優先順位の見直しが行われます。

自治体によってバラつきがありますが、3か月~半年に1回のペースで最新の申込書から再度リスト作成が行われます。

流れ② 順位の高い人から連絡を取っていく

空床ができた時点で連絡を取っていくのですが、まずは優先順位の高い人から声をかけます。

管理人

理由なく優先順位の低い方を入所させると役所から指摘されてしまいますので。

定期的に行われる役所の監査などで指摘されることもあるので、ここは全施設共通で対応しています。

ただ、現場の状況によって…

◆受け入れるなら女性が良い
◆この病気では当施設で対応できない
◆身寄りもなく成年後見人も付いてない

などなど、申し込みの段階で「この方はうちじゃ受け入れ出来ないな」という方もいますので、必ずしも1位→2位→3位とキッチリ順を追って連絡するとは限りません。

では、施設職員が連絡する際に、どういった点に配慮して面談する人を絞っていくのか。大まかに分けると3点あります。

入所者の男女比率を見る

すでに入所している方たちの男女比は介護スタッフの仕事量に大きく影響します。

大抵の施設は女性が圧倒的に多く、100床の施設の場合、80~85名は女性が占めています。

施設へ見学に行ったことのある方はわかるかもしれませんが、特養は基本的に男性が少ないです。

管理人

男性入所者が増えると以下のようなことが起きます

◆入所者同士のトラブル増加
◆暴力を振るう、セクハラする件数が増える
◆女性より体格が大きいため移乗介助が大変

こういったリスクや手間が増えてしまいます。

そのため、男性の入所者が増えている場合、女性の希望者を優先的に連絡していきます。

受け入れが出来ない疾病・医療行為がないか

特養は基本的に医師がおりません。看護師も日中のみ勤務の施設がほとんどです。

病院や医療体制の整った老人ホームに比べると、どうしても医療体制が劣ってしまいます。

そのため疾病や治療、必要な処置によっては面談せずとも入所候補から弾かれることも。

医療行為 受入れ度 備考
胃ろう 自己抜去リスクあると敬遠されがち
鼻腔 ×  
人工肛門  
在宅酸素  
バルンカテーテル △~〇 自己抜去リスクあると敬遠されがち
インシュリン注射 自己注射が可能な方ならOKな
MRSA(感染症) 加療を要しなければOK
肝炎 加療を要しなければOK
人工透析 ×  
気管切開 ×  
たんの吸引 夜間にも吸引必要だと敬遠されがち

その他にもパーキンソン病や精神疾患など、各施設側で「この疾病だとウチで受け入れるのは難しいな…」という病気があります。

入所申込書にそういった病気が記載されている場合、残念ながら面談をしないまま次の順位の方へ候補が移ってしまいます。

他入所者に危害を与えないか?転倒リスクはあるか?

他の入所者の命も預かっているため、集団生活にあまりにそぐわない行動がある方は面談前に弾かれてしまう傾向にあります。

認知症によって暴言・暴力、徘徊や他人の物を盗るなど、あるいは精神疾患によって同様の言動が見られる場合、現場側の反発が強いので、実際に受け入れ調整をする生活相談員も非常にシビアになります。

また、転倒するリスクの高い方も職員が常に見守りをする必要があるため、敬遠されがちです。

管理人

入所者1名のために非常に大きな労力を割かなければならず、介護スタッフも手間のかかる人たちはなるべく入所を避けたがります

待機者のなかには手のかからない人も多いため、無理してまで介護が大変な方を受け入れようとする特養は少ないです。

これが有料老人ホームなどであれば「貴重なお客様」のため話は別ですが、引く手あまたの特養では無理せず他をあたる場合がほとんどです。

流れ③ 本人・家族が希望すれば面談へ

入所申込書を見て面談できそうな場合、キーパーソンとなる方へ連絡を取り面談へと進んでいきます。

ただ、現状を言うと、面談をしたい旨の連絡をしたにも関わらず

家族

いまは落ち着いているので入所は結構です

家族

他の特養に声が掛かったので、そちらに行きます

など、面談を断られることもしばしば。

管理人

「とりあえず申し込みだけやっておこう」という方が多いのが、特養の待機者を多くさせている要因の1つになっていることが伺えます

向こうがOKであれば、自宅や施設、病院などご本人がいる所で面談の調整を行います。

管理人

面談には必ず家族が付き添うようにしましょう!

家族側から見た本人像、施設への要望、生活歴などあらゆる情報が必要となり、それが入所した際のケアの方針決めにも役立ちます。

面談でチェックする項目

施設側の職員はどのような点を見ているのか。少しばかり紹介します。

◆身体の状態(どの程度介助が必要か、麻痺の有無・程度など)
◆認知症の有無(どのような症状か)
◆既往歴・現病歴
◆継続治療が必要な疾病があるか?治療内容は?
◆飲んでいる薬、どのように飲んでいるか?(自己管理or家族管理)
◆日中はどのように過ごしているか?
◆夜間は良眠できているか?睡眠薬は服用しているか?
◆トイレ動作や食事、入浴などの各介助方法
◆転倒するリスクがあるか?
◆家族は本人に対してどの程度関わる意志があるか?
◆けがや事故に繋がるリスクはあるか?

ざっとですが、こんな所をチェックしていきます。時間にして1時間程度です。

ご家族には「入所が可能か検討する面談ですので、必ずしも入れるとは限りません」と釘をさしつつ、面談した内容を資料にまとめます。

流れ④ 介護スタッフ・看護師など各部署へ受け入れ可能が打診

面談資料を各セクションへ流し、入所が可能か、他に聞き取ってほしい情報があるか確認・検討してもらいます。

この工程が最も難関で、あらゆるセクションから「ここはどうなっているのか?」と確認が入ります。

特に問題がなければ良いのですが、他の入居者との兼ね合いやリスクの大きい方の受け入れは敬遠されがちですので

『食事も排泄も入浴もすべて全介助だと〇〇ユニットに案内したいけど、〇〇さんの対応で手一杯だから難しい』
『パーキンソン病だから、今は大丈夫でも入所した後の転倒リスクが増えるよね…』
『介護度が軽い方なら〇〇ユニットを案内したいけど、そこはすでに男性が多いから…』

などなど、面談したけど入所はできなかった…という方も多くいらっしゃいます。

管理人

そのため待機順位が20位、30位という方でも面談依頼の連絡をすることがあります

◆入所申込書の時点で弾かれる
◆面談したい旨の連絡をしても家族から遠慮される
◆面談しても現場側からNGを出されてしまう

こんな理由から、そこまで順位が高くない方にも面談の声が掛かることもしばしば。

流れ⑤ 受け入れ可能なら入所日の調整へと進む

めでたく流れ④の関門もくぐり抜けたら、念願の特養入所が叶います。

早ければ2~3週間ほどですが、面談から入所まで期間にして約1か月ほど要すると思って良いでしょう。

管理人

入所前の契約が終われば無事入所です。

あとは入所日までの以下の確認をしておきます。

◆当日の送迎方法・時間
◆当日持参するもの、事前に準備してもらうもの
◆入所後の薬は何日分あるか?
◆支払方法(窓口払い、振込、引き落とし)
◆施設で生活するうえでの家族の意向

あとは介護保険や医療の保険証なども準備が必要ですので、どこにあるか確認しておきましょう。

管理人

以上が入所までの全貌になります

いかがでしたか?施設側の目線で受け入れまでの流れを紹介しましたが、入所までに色んな段階を踏んでいることがお分かり頂けたと思います。

現状、介護職員が慢性的に不足しているため、現場はどこもバタバタです。そのため、なるべくリスクの少ない人、手の掛からない人を受け入れたがる傾向にあります。

そのため、前述のとおり面談まで行ったけど入所はできなかった……というケースも多いです。

特養への入所を少しでも早めるのであれば、なるべく多くの特養へ申し込みをするのがベストです。

(リンク)特養に早く入りたい!待機期間を少しでも縮めて入所する3つの方法

こういった記事を参考にしながら、色々と策を講じていくとよいでしょう。