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非常に有難いことに、介護認定を受けた方の自宅を改修するにあたり介護保険を利用することが出来ます。そのため1割(所得により2割)負担で済ませられます。

当然支給に上限はありますが住環境を整える上で大切サービスです。安全な住まいを確保するため是非お勧めの制度ですので、必要と思えば早めの段階で利用しましょう。

しかし、工事までに資料を作成したり、いくつか段取りを踏む必要があります。また、役所も口うるさく指摘してきますので、面倒な部分は多いです(面倒な部分は業者やケアマネジャーが代行してくれますが…)。リフォームとも取り扱いが異なりますので、工事のなかには認められない作業が含まれていることもあります。

そのため住宅改修という制度でどこまでの工事が可能なのか。どの程度利用することが出来るのかなどをご紹介したいと思います。

 

どのような制度か?

この制度は介護認定を受けた方のなかから、自宅でのより安全な生活、あるいは支障が出ている箇所について改修工事が出来るというものです。

ほぼ全ての自治体で、費用20万円を上限にその9割(8割)を支給してくれます。

【支給の例】 ※1割負担の場合
◆工事費用10万円の場合
10万円(工事費用)-9万円(支給額)=自己負担1万円

◆工事費用20万円の場合
20万円-18万円=自己負担2万円

◆工事費用30万円の場合
30万円-18万円=自己負担12万円

20万円の範囲内であれば何回でも利用できます。また、3以上介護度が上がったり、住所が変われば今まで使用した支給額はリセットされます。

 

保険適用が認められる工事の範囲

高齢者の生活改善に必要な工事にのみ適応が認められます。そのためリフォーム代の補填などで利用することは当然できません。では実際にこの制度を利用して、どこまでの範囲が認められているのでしょうか。

工事の種類 内容
手すりの設置 廊下や玄関、階段(屋内外)、浴室、トイレなどに設置できます。I型やL型などを場所やその方の身体状況に応じて組み合わせており、転倒防止や移乗に役立つ部分への設置が認められています。
段差解消 廊下や玄関(上り框含む)、居室間の床、トイレ、浴槽などの段差を解消できます。転倒の危険性がある場合に認められます。すのこなどを入れることで解消するならば適用外にある恐れも。
扉の取り替え  引き戸へやアコーディオンカーテンなどへの変更ができます。しかし、本人の負担軽減や安全の確保が見込まれる場合に限ります。
床の素材変更  転倒防止のため滑りにくい材質に変えることが出来ます。あくまでも本人の生活の範囲内で、かつ安全性の確保ができる素材に限ります。
便器の取り替え  和式から洋式への変更や、高さ調整などが出来ます。安全な排泄行為の確保が前提ですので、既に洋式タイプに対して洗浄機能や暖房機能を設置させることはできません(和式タイプからなら可能)。

あくまでも高齢者が生活を送るうえで支障の出ている部分を取り除くための制度です。なかには家族のリフォームの一部をこのサービスで補おうとする方もいらっしゃいますが、役所が認めてくれませんので、試したとしても却下されてしまいます。

【適用外となるケース】

◆扉のレールが曲がっていて開閉が難しいため取り替えたい
◆床が傷んでいて歩きにくい(老朽化を理由とするものは却下)
◆フローリングから畳への変更
◆下駄箱に手すりを設置する
◆段差の踏み幅を広くして傾斜を緩やかにする   など…

 

工事出来るのはあくまでも所有物件のみ

これも当然の話ですが、住宅改修が認められるのは自宅などの所有物件のみです。そのため賃貸物件では利用できません。これは老人ホームにおいても同様です。

ただ、有料老人ホームなどの一部施設では居室部分のみOKとしている施設があります。しかし実際、建物内はバリアフリーに整備されていますので、改修する必要がありません。私自身も施設に入居している人が住宅改修したという案件は2つしか聞いたことがありません。その2件はどちらも同じ介護付き有料老人ホームでした。

 

利用までの流れ

住宅改修を利用するためには資料を揃えるなどの段取りが必要になります。ほとんど代行してくれますので本人や家族の負担は少ないですが、法律で細かくルールが定められている関係で面倒なことが多いです。では実際にどのような流れで進んでいくのでしょうか?

手順 内容
①利用の旨を伝える 既にケアマネジャーが担当している場合はその方に。いない場合には地域包括支援センターに連絡してください。
②業者との打ち合わせ 業者が自宅に訪問して、どこに何をするか決めていきます。壁の厚さや配管の関係で要望通りにならないケースがあります。
③見積・工事図面の作成 ②が終わると、見積もりと工事図面を業者出してくれます。
④役所へ書類提出 ◆申請書  ◆改修が必要な理由書
◆工事図面  ◆見積書  などの書類を役所に提出します。ほとんどの資料は業者やケアマネ(包括)が作成してくれます。
⑤工事 役所からの許可が下りれば工事開始です。
⑥支払い 支払い方法は2つあります(後に説明します)。
⑦着工終了の連絡 工事が完了すると、改修後の様子を写真に収めて資料として役所に再度提出します。
⑧完了 これにて無事完了です。

支払い方法は『償還払い』と『受領委任払い』という2つの方法があります。それぞれどのような違いがあるでしょうか。

【支払い方法の違い】
 
≪償還払い≫
工事費用を一旦すべて支払い、手続き完了後に給付分が還付される。

≪受領委任払い≫
 業者への支払いは初めから自己負担のみとする。

償還払いだと初めに大きな金額を用意する必要がありますが、受領委任払いであれば自己負担分のみ払えば良いので、それが不要となります。

ただ、後者の支払い方法を選択するためには自治体からの指定を受けている業者でなければいけません。個人的に付き合いのある業者に頼む方は多いですが、そこが自治体からの指定を受けているのかどうか確認する必要があるでしょう(役所に問い合わせれば教えてくれます)。

 

福祉用具レンタルと併用して住環境を更に整える

より安心・安全な生活を続けるためには住環境の整備は欠かせません。高齢者は転倒による骨折などを理由に介護が必要になったり、重度化するケースが頻回に見られます。

手すりがなく壁を支えに移動するのではあまりに危険です。また、高齢者は1㎝にも満たない絨毯の厚みで転倒します。何気ない部分に危険が多く潜んでおり、ちょっとした気の緩みが取り返しのつかない事態になりかねません。

20万円という金額があれば手すりが何か所にも設置できます。中規模程度なら段差解消の工事も金額内で収めることが出来ます。

もし住宅改修制度だけでは超過するようなら福祉用具のレンタルを活用しましょう。設置型の手すりやスロープなどで代用することが十分可能です。いかにリスクを減らせるか、ちょっとした障害をリスクと捉えることが出来るかという視点が非常に大切になります。

(リンク)福祉用具を買う・借りる

高齢者の状態は年々衰えていきますので、その下降に合わせた環境作りが出来るようケアマネジャーとも日ごろから連携しましょう。