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親(祖父母)に介護が必要になった時に迫られる選択肢が2つあります。それが…

◆在宅で介護をする
◆老人ホームに入居する

いずれを選ぶにせよ何かしらの負担が家族や本人に課せられます。

どちらを選択するかは当人たちの状況や価値観に委ねられますが、双方のメリット・デメリットを紹介することで、判断材料にしていただけたら幸いです。

在宅介護か施設介護…あなたはどちらを選ぶ?

介護が必要になった家族に関する相談を数多く受けてきました。

そこから見えてくる双方の長所や短所をポイントを抑えてご紹介していきます。

在宅介護をすることのメリット

自宅で介護を続けることで得られるメリットは2つあると個人的に考えます。

母を自宅で介護している様子

メリット① 金銭面の負担が少なく済む

介護施設に入居するよりも経済的負担は遥かに少なく済みます。

訪問介護(ホームヘルパー)や通所介護(デイサービス)などの介護保険サービスをフル活用したとしても月々の費用は3万円前後です(食事代は別)。

家族だけではなく在宅サービスを活用して役割分担することで、ある程度の介護負担を減らしながら経済面でも負担をかけずに生活を送ることが可能になります。

老人ホームに入るならば少なくとも月額15万円は必要になります。

有料老人ホームであれば入居金も発生します。それと比べれば圧倒的にコストを低く抑えることが出来ますので、国民年金しかない女性を介護するとしても、年金内で賄うことも可能になります。

 

メリット② 住み慣れた家・地域での暮らしが続けられる

そしてもう1つのメリットが「住み慣れた場所で生活が継続できる」という点です。

我々もそうだと思いますが、やはり思い入れの深い家や場所は心の安定に繋がります。長年暮らし続けてきた思い出いっぱいの自宅であれば尚更でしょう。

色々な方の相談を聞いても「出来ることなら自宅で最期を迎えたい」という希望を持っている方は大勢いらっしゃいます。

住み慣れた場所で老いていき、そして息を引き取るまで介護を頑張ったケースでは、本人だけでなく家族にも笑みがこぼれています。

これは在宅介護を選んだ方にしか味わえない感覚でしょう。達成感や充実感に溢れているのが伺えます。

 

在宅介護をすることのデメリット

とはいっても本当に大変な道のりです。次第に衰えていく家族を介護するには様々な問題点があります。

地域に住むさまざまな高齢者と家族を見てきましたが、私が思うに主に2点あります。

 

デメリット① 夜間の介護に大きな負担が掛かる

日中も大変ではありますが、大抵はヘルパーやデイサービスなどの介護保険サービスを利用することで負担軽減が出来ます。

ただ、夜間も対応している事業所はほとんどないため、夕方から朝までは家族が看なければならないケースがほとんどです。

介護者は日中もせわしく動いていると思います。当然夜になれば疲労感から休みたくなりますが、介護とは24時間連続するものです。休みはありません。

失禁すればオムツや衣類を交換しなければなりません。ふと立ち上がって転倒する危険があれば見守らなければいけません。

介護者が特に負担に感じているのが夜間の介護」です。

これが原因でノイローゼや居眠り運転による交通事故に至ったケースも数多く目の当たりにしてきました。

 

デメリット② 自分の時間がもてない

育児や仕事に追われる20~50歳代に多く見られます。

みんな家庭や仕事を持っており、それに追われる忙しい毎日を送っています。ただでさえ慌ただしい毎日を送っているにも関わらず、介護も引き受けるとなれば当然、自分の時間を持つことは難しくなります。

息抜きが出来ないことで排泄の失敗を強く責めてしまったり、子供に八つ当たりしたり、ノイローゼになってしまうケースも見られます。

他の家族と上手く役割分担出来れば良いですが、特定の介護者に介護を丸投げして、その人に負担が集中してしまうのが実情です。

「もっと子供と遊びたい!」
「仕事で成績を出していきたい!」

そう思っても介護に多くの時間を割かれて結局何も出来ずに時間が過ぎてしまうという辛い現実もあります。

 

老人ホームに入居することのメリット

老人ホームといっても今では色々なタイプが出ており選択肢はさまざまです。

サービスも多様化してますが、どの介護施設に入所するにせよ得られるメリットは2つあります。

父が老人ホームで生活しているイラスト

メリット① スタッフによる24時間365日の対応を受けられる

老人ホームに入ることで得られる恩恵として何よりも「常時誰かの目や助けがある」ことが挙げられます。

当然ながら夜中でも誰かしらのスタッフがいます。日中なら更に手厚い人員が揃っています。

必要な時に必要とするケアを受けれらるのは本人にとっても非常に心地よいものと言えるでしょう。

そして何よりも、常に誰かが見守っていることによる安心感が得られます。これは本人だけでなく家族にとっても大きなメリットと言えるでしょう。

 

メリット② 家族の身体的・精神的負担が大きく減る

先ほどの「在宅介護のデメリット」でも挙げた通り、自宅で介護を続けることは家族にとって非常に大きな負担となります。そして自由な時間も奪われてしまいます。

ですが、老人ホームに入居していれば、これら負担は大きく減少することが出来ます(急変や危篤の際には施設から呼び出しなどはありますが…)。

日常生活のサポートは施設のスタッフに任せることで、ゆとりも持ちながら本人と接することも出来ます。更には空いた時間で自分のやりたかったことにも集中しやすくなります

「家族の面倒を看ないなんて気が引ける…」と思う方もいるかも知れませんが私はそうは思いません。

施設に入所しても本人の介護の一翼を家族が担うことは出来ます。

例えば本人が食べたいものを持ってきたり、たまに外泊して家族だけでのんびり過ごしたりなど…。

介護のメインは老人ホームのスタッフに移りますが、一部を家族が担っていくことも可能です。

 

老人ホームに入居することのデメリット

あえて「デメリット」という言葉で書きますが、個人的には老人ホームに入ることで生じるデメリットはほとんどありません。

強いて言うなら「注意が必要」ということです。そのため、ある程度ポイントを押さえておけば回避(リスクを軽減)できます。ポイントは3つです。

 

デメリット① 在宅介護より費用が掛かる

先ほども言いましたが、特別養護老人ホームなどの安価な施設を除き、ほとんどは月額15万円以上の費用が掛かります。

それに加えて入居金が数十万円~数千万円と決して安くありません。

自宅で介護をするより遥かに経済的負担は重くのしかかります。

厚生年金や遺族年金である程度の収入が見込まれたり、資産に余裕があればほとんどの老人ホームに入居できますが、おおよその余命と施設のコストを試算しておく必要があります。

【安く入れる介護施設は増えています!】

ニーズも多様化していますので、『入居金0円』を謳った施設や『施設費用の減額制度』 など、経済的に余裕がない人でも入れる老人ホームは増えています。

 

デメリット② 退去を迫られるリスク

老人ホームそれぞれで入居要件があり、受け入れ態勢も様々です。

当然、介護度が重くなったり医療的なケアが多く必要になることで、施設でのキャパを超えてしまうことがあります。

そうなると退去を案内されてしまいます。そして次なる施設選びを行う必要が出てきます。

生活の場が変わることは高齢者にとって身体的にも精神的にも大きな負担となります。

また、それを探すのは家族が行います(施設の相談員などが手を貸してくれるケースもありますが…)。

施設での契約を済ませる前に退去要件を入念にチェックしておくことで、不測の事態にもしっかり対応できる心構えが整います。

 

デメリット③ 縛られた生活になる

老人ホームというのは集団生活です。そのため、施設側が決めたスケジュールのなかで生活することが多少なりとも求められます。

高級な有料老人ホームであれば、自分の好きなように生活することも可能ですが、ほとんどの場合違います。

食事や風呂の時間など、他の入居者と同じようなリズムで送るよう時間的な縛りが生じます。

そのため自由気ままに生活したいタイプには少々ストレスが大きいかも知れません。老人ホームの入居を渋る方に多い理由が「縛られたくない」といった声だったりします。

その反面、自宅であれな自由度も高く、好きな時に何でもできます。

 

方向性を決めるときは複数で

多くの方が陥りがちなのが、在宅介護か老人ホームいずれの方向性で行くせよ「少人数で決めてしまう」ことです。

こうすることで他の親戚と意見の食い違いによって関係が悪化したり、知識不足によって不測の事態に対応出来ない場面が往々にしてあります。

必ず「なるべく多くの家族と話し合う」ことと「福祉・医療・介護の専門家に相談する」ことを強くお勧めします。

「専門家っていっても…」と感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、私も勤務している「地域包括支援センター」なら無料で相談が出来ます。

こういったセンターに話をすることで、今後予測されることや備える事項など、ポイントを押さえて意見をくれます。

時間に余裕があるなら、こういった社会資源も活用されてみてはいかがでしょうか。

どちらを選ぶせよ、素敵な介護ライフが送れることを祈っています。