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自宅で生活している認知症の人は主治医と相談しながら治療や処方箋が決まりますが、老人ホームにいる方はどのように治療しているのでしょうか。

入居することで主治医が施設と提携している医療機関の医師に移りますので、方針が変わることもしばしばあります。

それによって症状が変化したり、進行が早まったりなどの不安を抱く方もいらっしゃると思います。

老人ホームと在宅では認知症治療薬の使い方が異なります!

老人ホームと在宅では本人を介護する環境に大きな違いがあるため、治療薬の使い方も異なってきます。

今回は老人ホームで認知症に対してどのような治療をしているのか。

あるいは入居後も落ち着いた生活が出来るために必要なことについてお話ししたいと思います。

 

治療薬は極力使用しない方針の老人ホームが多い

薬は使用しない

サ高住や住宅型有料、ケアハウスなどのサービス外付けタイプの施設では、受診する医療機関は個人の自由で選ぶことが出来ますので、掛かっている医師の考え方1つで大きく変わります。

そのため、認知症治療薬をどのように処方するかは、その医師の裁量次第になります。傾向としては在宅生活している人とあまり変わらない内容であることが多いです。

しかし、介護付有料やグループホームなどの施設と医療機関が提携している老人ホームの場合はどうでしょうか。

これも施設によって考え方が異なりますが、ほとんどは認知症治療薬を極力使用しない方針になっています。

家族からの要望で積極的に使用してほしいという要望があれば、その限りではありません。

しかし、こういった薬は調整が難しく、本人の症状や状態と薬の成分が上手く合致しないと副作用によって悪い兆候が見られることもあります。

そのようなリスクを負うのであれば、スタッフが24時間体制でしっかりとケアをしてくれますので、声掛けや環境整備によって症状を落ち着かせる方が確実だということです。

 

漢方薬で調整することが多い

漢方薬

スタッフのケアに補足する形で漢方薬を処方している老人ホームは多いです。

調整が難しく副作用の心配がある治療薬を使用するくらいなら、わずかでも安定した薬を提供した方が良いと考えているからでしょう。

私が実際に関わっていた方でもいらっしゃいましたが、幻視や見当識障害などの症状があったため「メマリー」という薬を処方されていた方が、介護付有料老人ホームに入居してからは「抑肝散」という漢方薬だけの服用になりました。

(リンク)認知症状が強く入居が難しい場合の対応

自宅で生活していた頃は

「泥棒が見える!」
「財布が無くなった。○○が盗んだんだ!」

などと言って隣近所に怒鳴り込んだりすることが何度もあったため、施設での集団生活が心配でした。

正直、漢方薬だけで大丈夫だろうかと私も不安でしたが、入居からしばらくして面会に行くと、表情も穏やかであり、落ち着いた口調でお話しをしてくださいました。

自宅にいた頃とはえらい違いにビックリしたことを今でも鮮明に覚えています。

そこの施設だけかとも思いましたが、その後も足を運ぶ色々な老人ホームで漢方薬(主に抑肝散)をメインに処方しており、治療薬は一切使用しない方針のところが多いことを知りました。

 

睡眠導入剤は試用することもある

朝起きて夜は寝るお爺ちゃん

副作用などを考慮して治療薬を使用せず、ケアで落ち着かせる施設は多いですが、なかには夜間眠れないことで日中に認知症状が出現してしまう方もいらっしゃいます。

このようなケースの場合には睡眠導入剤を使用することがあります。ケアではどうしようもない部分が大きいため薬の力を借ります。

ただ、睡眠薬も調整が難しいですので医師とも慎重に話していきます。

服用しても一向に眠る気配がなく、大幅に増量したり強い薬に変えたせいで、ある時を境に体内に蓄積された成分が一度に効果を発揮し始め、寝たきり状態になる方もいらっしゃいます。

そのため、まずは少量から始めて今後の経過に応じて細かく用量を変えていきます。

 

主治医・施設としっかり確認・調整を!

白衣を着た男性医師

既に入居している人が新たに認知症治療薬を服用することは稀ですが、在宅で服用していた人が入居を境にパタッと打ち切ってしまうのは心配だと思います。

入居のタイミングで「当施設は治療薬を使用しませんので、これを機に服用もストップします。」という勧告を受けて戸惑ってしまう家族も実際にいらっしゃいます。

施設としては薬に頼らずケアでより良くする自信があるのでしょうが、もう少し家族との歩み寄りの姿勢も見せてほしいものです。

あくまでも治療方針や処方箋を決めるのは医師です。そこで、掛かっている医師に施設へ入居することで現在の治療を変える必要があるのか確認してみましょう。

その結果を踏まえ、施設側とも処方を調整することで納得する結果に繋がり、かつ信頼関係を構築できます。

現在の主治医の考え、そして施設側(提携病院の医師含む)の考え・方針をすり合わせることで、本人も老人ホームでより落ち着いた生活を送ることが出来るでしょう。

そして、万が一治療薬をストップすることになっても大丈夫です。

私もそういったケースを何十件と見てきましたが、今まで服用していた治療薬を中止したことで症状が急激に悪くなった方は1人もいません。それほどに老人ホームのスタッフは上手に対応してくれます。