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認知症の診断を適切に行いたいのであれば受診することがベストですが、こういった方たちは拒否することが多いですので、思うように受診に結びつかないことがあります。

日常生活で「あれ?もしかして…。」と思う場面は見かけるものの、果たして認知症なのか、あるいはどの程度進行しているのか気になると思います。各地で研究が進んでおり病気に関するデータが多く集まっているため、テスト形式で発症の有無や進行度合いを測ることができる検査が確立されています。

今回は認知症に関する検査を2つご紹介します。どちらも5分程と短時間で出来るものですので、家族や気になる方にやってみても良いでしょう。

(リンク)要介護(要支援)認定の申請から結果までの流れ

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長谷川式簡易知能評価スケール

私たちの業界で有名な長谷川和夫先生が作られた最もポピュラーな認知症の検査です。これは実際に診察の現場で医師も活用していますし、その他あらゆる場面で使われています。

  質問内容 点数
お年はおいくつですか? 0   1
今日の日付は何年の何月何日、何曜日ですか?
(※ 年、月、日、曜日 各1点)
年  0  1
月  0  1
日  0  1
曜日 0  1
私たちが今いるところはどこですか?
(※ 自発的に出れば2点。5秒置いて自宅?病院?施設?のなかから正解すれば1点)
0  1  2
これから言う3つのことを言ってみてください。
後で聞くので覚えておいてください。
①桜 ②猫 ③電車
① 0  1
② 0  1
③ 0  1
100から7を引いてください。そこから更に7を引いてください。
(※ 最初が間違っていれば打ち切る)
(93)0 1
(86)0 1
私がこれから言う数字を反対から言ってください。
①「6・8・2」 ②「3・5・2・9」
(※ 3桁の逆唱を間違えたらそこで打ち切る)
① 0  1
② 0  1
先ほど覚えてもらった言葉をもう1度言ってください。(※ 自発的に答えれば2点。以下のヒントを与えて正解すれば1点。)
①植物 ②動物 ③乗り物
① 0 1 2
② 0 1 2
③ 0 1 2
これから5つのものを見せます。隠しますので何があったか覚えてください。
(※ 時計、鍵、タバコ、ペン、硬貨など相互に関係のないもの)
0  1  2
3  4  5

知っている野菜を出来るだけ多く教えてください。
(※ 10秒待っても出なければ打ち切る)
~5=0点、6=1点、7=2点、8=3点、
9=4点、10=5点

0  1  2
3  4  5

30点満点でテストを行い、20点以下だと認知症の疑いが強いと言われています。実際にテストで20点以下の方のほとんどは、その後受診すると認知症の診断が下りています。

また、25点以上であれば特に問題はありません。反対に10点以下であれば中重度、5点以下なら重度と言えます。

年齢にもよりますが、25点以下なら受診をお勧めします。早期発見・早期受診が何よりもカギですから、気が付いた時点での受診が今後の進行度合いに大きく影響します。
(リンク)「物忘れ外来」「精神科」「心療内科」、認知症の受診先はどこが良いか?

 

MMSE(ミニメンタルステート検査)

もう1つ現場でよく使われている検査が通称MMSEです。これも長谷川式の検査に似通っている部分がありますが、文の復唱や図形模写など特徴的な内容もありますので、他と組み合わせることで確実なものになるでしょう。

  質問の内容 点数
「今日は何日ですか?」「今日は何年ですか?」「今の季節は何ですか?」「今日は何曜日ですか?」「今月は何月ですか?」 日 0  1
年 0  1
季 0  1
曜 0  1
月 0  1
①「ここは都道府県で言うと何ですか?」
②「ここは何市(町・区など)ですか?」
③「ここはどこですか?」(※地名でなく建物の名前が出れば正解)
④「ここは何階ですか?」
⑤「ここは何地方ですか?」
① 0  1
② 0  1
③ 0  1
④ 0  1
⑤ 0  1
私がいう言葉を覚えて繰り返し言ってください。
①桜 ②猫 ③電車
後でまた聞くので覚えておいてください。
① 0  1
② 0  1
③ 0  1
100から順番に7を繰り返し引いてください
※100→93→86→79→72→65
5回繰り返し引かせ、正答1つにつき1点の5点満点
0 1 2
3 4 5
さっき私が言った3つの言葉は何ですか?
※質問3で覚えてもらった言葉を復唱させる
0 1
2 3
時計(又は鍵)を見せながら「これは何ですか?」
鉛筆を見せながら「これは何ですか?」
※正答1つにつき1点。計2点満点。
0  1  2
今からいう分を覚えて繰り返し言ってください
「みんなで力を合わせて縄を引きます」
※はっきり、ゆっくりと伝える。1回で正確に答えられれば1点加える。
0  1
※紙を机に置いた状態で教示を始める
今から私の言うとおりにしてください。「右手にこの紙を持ってください。それを半分におってください。そして私にください。」
※各段階ごとに正しく作業できたら1点。計3点満点
0 1 
2 3
この文を読んで、その通りにしてください。
「目を閉じてください」
※実際に目を閉じれば1点
0   1
10 何か文章を書いてください
※例文は与えず、意味のある文が書けたら1点
0   1
11 以下の図形を真似して書いてください
※角が10角あり、2つの5角形が交錯していれば正答とする
0   1

問11の図形は以下の通りです。

mmse先ほどの長谷川式と重複する部分もありますが、歴史はそれよりも古く世界で最も有名な知的検査と言われています。

上でご紹介した質問内容が最も一般的ですが、実施している場所によって内容を少しずつ変えている所もあります。

こちらも30点満点で採点を行い、27点以上であれば正常範囲です。反対に21点以下の場合には認知症の疑いがあります。

 

得手不得手で点数は大きく変わる

これら検査は簡単で、慣れている方が検査すれば5分ほどで出来ます。そのため検査を受ける側も特に負担を感じることなく、そして嫌がられる恐れが少ないことも魅力の1つです。

ただ、これはあくまでも検査であり、認知症かどうか判断する上での1つの指標に過ぎません。例えば、計算が得意な方であれば100から7を引く問題は大体解けてしまいます。商売をしていた方などは認知症が進んでいても20点以上とってしまうこともあります。

数字が全てではありません。その人の得意(苦手)分野があるため、必ずしも認知症の進行度合いと得点は比例しませんので、あくまでも目安と思ってください。

(リンク)「コウノメソッド」とはどのような認知症療法なのか?

 

答えている時の様子も1つの判断材料

点数だけでなく検査をしている時の本人の言動によって、どのような症状が出現しているのか判断する材料になります。

例えば年齢を聞かれたときに、わからずに考えながら黙っているなら、単なる記憶障害や見当識障害と見られるでしょう。しかし、「私は30歳の時にね~…」と関係ない話をするようなら、認知症による「作話」という症状に該当します。

他にも、「文章を書いてください」と言ってペンを渡そうとしたにも関わらず、医師の聴診器を手に取って書こうとした人もいます。これは聴診器がどういった物なのか認識できない見当識障害が見られます。

さらには上の図の五角形をみて「ヒトデが俺を狙っている」という被害妄想が出てしまった方もいます。

それ以外にも、すぐに答えられたのか、あるいは回答に躓きながらなんとか絞り出したのかによって進行度合いも測ることができます。同じ1点でも、簡単に取った点数なのかどうかも、今後の進行を考える上で重要です。