Pocket

認知症の進行を少しでも抑えるためには治療薬だけでなく、日々のケアが非常に重要になります。よく言う、「家に引きこもってテレビを見ているだけ」の生活は脳に何の刺激も無いため、急激な悪化に繋がりかねません。

これは老人ホームでも同様の事が言えます。自室にも籠っていて食事の時だけ出てくるような生活では進行も早くなってしまうでしょう。

そうさせないためにスタッフは色々な認知症ケアを実践しています。ただ、これは施設によって力量にバラつきがあります。そこで今回は良いケアを実践している施設の見極め方についてご紹介します。

 

3大介護と並んで重要なケアの1つ

3大介護と言われているのが、「食事介助」「排泄介助」「入浴介助」であり、これらと並んで大切なのが認知症へのケアです。いかにその人らしい生活を送ってもらえるか、より穏やかに毎日・その時を過ごしてもらえるか工夫することが老人ホームに求められます。

しかし実際には、徹底した認知症ケアを実践できている施設は多くありません。職員は3大介護をこなしていくだけで手一杯ですので、プラスアルファで他のケアまで行うことが出来ません。また、その重要性を理解していない施設やスタッフも多いです。

そういった職員(施設)は、認知症ケア=頭を使わせることと捉えている場合が多いです。そのためパズルや計算・漢字ドリルなどの、いわゆる「脳トレ」をやってもらうだけでOKと考え、そればかりを入居者にさせている施設もあります。

(リンク)『建物や設備』より『人やサービス』を重視する

 

脳トレより元気な頃の生活に近づける事が大切

私が考える最良の認知症ケアは「認知症になる前の生活を可能な限り継続する」というものです。例えば、主婦歴の長かった人は料理や家事などを施設でも可能な範囲で続けたり、趣味活動を行うことが認知症に1番良いと考えます。

(リンク)認知症と加齢によるボケの違いでもお話ししていますが、認知症は日常生活を送ることに支障をきたす病気です。しかし、支障をきたしながらも誰かの手を借りることで今まで通りの生活を送ることが何よりのリハビリだと感じています。

デイサービス等でもやっている「脳トレ」と称したパズルや計算・漢字ドリルの類は、あくまでも補助的な役割です。私の主観ですが、「生活の継続」と「脳トレ」の重要度は『9:1』です。圧倒的にメインは前者となります。

加えて、パチンコやスロットを置いて「脳トレ」と称している施設やデイサービスなどもありますが、あれは脳に良い影響を一切与えてく
れません。ぼーっとテレビを見ているのと同じで、やればやるほど脳は衰えていきます。

グループホームは実践出来ている施設が多い

認知症になる前の生活を継続することが大切とお伝えしましたが、色々な施設のなかでも特にグループホームは、これがしっかりと出来ています。さすが「認知症対応型共同生活介護」という名称なだけあります。

(リンク)グループホームってどんな施設?にもある通り、入居者がそれぞれ好きなことを自由なタイミングで行うことが出来ます(食事は定時ですが…)。

料理は職員見守りのもと入居者メインで作りますし、掃除や洗濯など、あらゆる事を入居者にやってもらいます。決して職員が楽をする為ではありません。その方の今までの生活を続けるための「ケア」を提供しています。

天気が良い時には散歩や、庭先にある畑で野菜などを作ったりもします。限りなく家庭に近い環境での生活が出来ますので、認知症ケアの最先端はグループホームにあると私は思っています。

(リンク)認知症への対応で大切なこと

 

良い認知症ケアをしている老人ホームの見極め方

検討している老人ホームの認知症ケアの程度は気になると思います。認知症を発症したばかりの方などは尚更のことでしょう。施設全体のレベルについては(リンク)施設の良し悪しを見極めるポイントをご参考にして頂ければと思いますが、そのなかでも認知症ケアをどの程度行っているのかという判断基準をご紹介します。

基準は「脳トレに頼らず元気な頃の延長となるための工夫がされているか」になります。ドリルを渡して放置は論外です。あくまでも脳トレはメリハリを持たせる程度で取り組んでもらい、ベースは以前の生活の継続を徹底するケアが出来ている施設が最良だと私は思います。

見学に行かれるとわかりますが、実践出来ている施設では色々な入居者が何かしらのことをしています。あっちでは掃除を、こっちでは洗濯物を畳んだりと働いています。本人達はそれを苦痛には感じていません。職員が近くで見守りをしていますので、次の動作がわからず躓きそうになってもフォローしてくれます。

認知症ケアは労力が必要です。いつも通りの生活といっても記憶障害や見当識障害により、様々な支障が出てしまいます。そこを常にフォローしながら軌道修正して、いつものルーティーンに戻す必要があります。

ドリルなら、やらせて放置も出来ますが、生活上の動作はそうとはいきません。先程のような見守り・フォローを適宜行います。3大介護だけで手一杯のなか、更に労力を多く必要とするケアを実践しているからこそ、これが出来ている老人ホームはレベルがかなり高いといえます。

こういったことはパンフレットや電話だけでは絶対にわかりません。文字や口では「当施設は認知症ケアに真剣に取り組んでいます」と言っても蓋を開けたらパチンコさせて放置、なんて老人ホームもあります。気になる施設があるならば見学に行きましょう。