Pocket

この制度を聞いたことはあるでしょうか?前身である「禁治産・準禁治産」から2000年に改正され新たに施行されたものですが、利用者は年々増えております。

地域包括支援センターでも、この制度に関する相談は毎日のように寄せられており、世間の関心も高まってきているのではと思います。しかし、未だ制度の内容までは周知が進んでおらず、相談内容を一通りお聞きすると制度利用には到底値しないこともあります。

ただ、老人ホームに入居する際などの身元保証人を立てることを目的に利用開始を検討される方も急増していますので、今回は成年後見制度の1番基本的なお話をしていきます。

 

制度の概要

認知症や知的障害、精神障害などが原因で判断能力に支障が出てきた(出るかも知れない)人が制度の対象です。判断能力の有無によって「法定後見」と「任意後見」に分けられますが、能力が低下していれば本人に代わって代理人が財産管理や契約行為などを行ってくれます。

ただ、あくまでも財産管理と身上監護が業務範囲です。そのため、実際にご本人宅に行って介護をしたり、買い物を手伝ったりなどの行為は出来ません。出来るとすれば、ヘルパーを導入する際の契約行為などです。

現在の利用者数は約18万人程度です。認知症高齢者の4%に満たない程度の利用率ですが、高齢化に伴い利用人数は更に増えていくでしょう。

法定後見

これは判断能力が落ちている人が対象です。しっかりしている方は利用できません。

能力の程度によって軽い方から「補助」「保佐」「後見」という3つの類型に分けられます。どの類型に該当するかは、判断能力が低下している原因である疾患を診察している医師や、その後の家庭裁判所の担当官による面談で決めます。

家庭裁判所に申立てを行うことで利用に結び付きますが、申立てが出来るのは本人あるいは4親等内の親族など一定の範囲になります。

所定の手続きを終えると、家庭裁判所から後見人(補助人or保佐人)が選任され、そこからご本人への支援が開始されます。

(リンク)成年後見制度(法廷後見)とは?

 

任意後見

こちらは判断能力の低下が見られていないものの、今後の老化などに備えて予め代理人と契約を結び公正証書にします。能力に衰えが見られた時点で効力を発揮させることで財産管理や身上監護を移管する制度です。

あくまでも本人と代理人での契約になりますので、法定後見とは異なり家庭裁判所を通す必要はありません。また、双方が納得するのであれば法定後見では出来ない業務も移管することが可能となります。

いざ判断能力が低下したことで代理人が実働を始めたとします。法定後見であれば定期的に家庭裁判所へ活動報告を行うことで不正のチェックを行いますが、任意後見では家庭裁判所が間に入ることはしません。

そのため「任意後見監督人」という、任意後見人が適切な活動をしているのかチェックする人が選任されます。この人が選任されるのは契約の効力を発揮するタイミングと同じです。

(リンク)成年後見制度(任意後見)とは?

 

どこへ相談すれば良いか?

もし成年後見制度を利用しようと検討しているのであれば相談先が複数ありますので、ケースによって使い分けると、その後がスムーズに流れていきます。

「認知症(高齢者)」「知的障害者」「精神障害者」と3つのタイプに分かれますが、今回は認知症(高齢者)に絞った相談機関と特徴をご紹介します。

相談先 特徴
地域包括支援センター 申し立て業務は出来ず、あくまで「方向性を提示」するだけです。右も左もわからないという場合に整理してもらうには有効です。また、具体的にどの機関へ申し立て業務を依頼した方が良いか聞いてみるのも良い。
弁護士会 都道府県ごとに会が設置されており、ここへ電話すると最寄りの弁護士事務所を紹介してくれます。ただ、申し立て費用などの報酬は高く設定されている。相続などのことも含めて相談したいのであれば、こちらに連絡する価値はある。
リーガルサポート 司法書士会の団体が母体となり設立された。都道府県ごとに支部があり問い合わせると最寄りの担当者を紹介してくれる。法廷後見、任意後見ともに対応可能であり、費用は行政書士以上、弁護士以下となっている。
コスモス成年後見サポートセンター 行政書士の連合会が母体となって設立されたセンター。リーガルサポートと同様、都道府県ごとに支部があり、そちらへ連絡すると最寄りの担当者を紹介してくれる。任意後見であれば問題ないが、家庭裁判所への申し立て業務は行政書士では出来ないため、司法書士へ委託している所が多い。費用は比較的安いため、年金や預貯金が少なく安く済ませたい人にお勧め。

もしご自身が申立人となり、必要書類も全て自力で揃えるのであれば上記機関を頼る必要はありません。法定後見であれば家庭裁判所へ問合せながら、任意後見であれば将来代理人となる者と協議しながら作成します。ただ、法定後見に関しては書類を作成するのに手間が掛かりますので、15~20万円ほどの報酬を支払って専門家に依頼した方が良いです。

 

老人ホーム入居の際に利用する人が増えている

身内との関係が希薄化している時代ですので老人ホームに入居する際の身元保証人を設定する相手がいない人も増えています。緊急的な事案への対応に不備が生じやすくリスキーですので入居できない施設は多いです。

(リンク)「身元保証人不要」という謳い文句は本当か?

ただ、後見人をつけることで受け入れOKとする施設も増えています。本人の代わりに財産管理や契約行為、意思の代弁などを遂行してくれますので、「身元保証人」という肩書ではなく「後見人」という立場で登録している施設がほとんどです。

「身内を頼れない…」と入居を断念している方。諦めないでください。同じような境遇の人たちは増えており施設側も対応に慣れています。まずは入居を済ませてから後見人の申立て手続きに入っても問題ない場合も多くありますので試してみてはいかがでしょうか?

(リンク)身元保証人がいない場合どうすれば良いか?